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最高裁判所第一小法廷 平成6年(行ツ)184号 判決

大阪府守口市寺内町一丁目二番地

上告人

セキデン開発商事株式会社

右代表者代表取締役

矢野博

東京都千代田区霞が関三丁目四番三号

被上告人

特許庁長官 高島章

右当事者間の東京高等裁判所平成五年(行ケ)第五七号審決取消請求事件について、同裁判所が平成六年五月三一日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 三好達 裁判官 大堀誠一 裁判官 小野幹雄 裁判官 高橋久子)

(平成六年(行ツ)第一八四号 上告人 セキデン開発商事株式会社)

上告人の上告理由

一、原判決は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背があります。すなわち、

二、(特許発明の技術的範囲)特許法第七〇条 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基いて定めなければならない。

によるべきことを東京高等裁判所において申し述べ、続いて平成五年(行ケ)第五七号審決取消請求事件裁判において被上告人主張の引用例実用新案登録願昭和五〇年第五七九五四号と本件昭和六三年審判第四八一号との違いを、その目的と構成と作用効果について詳細に最終上申書に申述べております。

三、東京高等裁判所より準備の為呼出通知が到着しているのに前記最終上申書に対する特許庁様よりの答弁書が到着していないので、特許庁一六部門の「ヤマギ」様へ電話〇三・三五八一・一一〇一内線三七一六で問合せました処、これは裁判所さんが適当に答えてくれるとのことでしたので、特許庁様も答弁のしようがないものとして前記上申書内容を認めてくれたものと考えました。前記「ヤマギ」様より前々より電話あり裁判所様へ書類を差出す時は、特許庁へも早くつくようにFAXで同じ書面を送ってくれるよう依頼されておりましたので、そう考えていました。それで、判決内容に大変驚いています.本日は判決内容の問題点を記載します.すなわち、

四、その料決には、本件(本願第二発明)の要旨として次のように記載しています.

「玩具銃銃体を前部銃体と後部銃体に分ち、前部銃体を後部銃体へ内嵌して前進後退自在にし該嵌合部分前部銃体へ発射口とピストン盤体を設け、後部銃体ヘシリンダー室を設けて両者を嵌合し、且つ前記前部銃体、後部銃体と共に前進後退自在にし前記シリンダー室の後部に管を設けて銃体後部への導管としたことを特徴としてなる玩具銃。」

その内引用例との間で特に問題となる構成は

「…該嵌合部分前部銃体へ発射口とピストン盤体を設け…」の構成となり、それを換言すれば

「…前部銃体と後部銃体の嵌合部分に発射口を設け…」

の構成となり、それに対し引用例では嵌合部分でない細長い操作管の先に発射口を設けた構成となり、両者の構成上の相違点となります。それは判決にも認められている処であります。

五、構成も異なればその作用効果も当然異なってきます。部品数増えれば組立手間、手数を要しコスト高となるばかりでなく、その接合面もふえれば当然に気密保持に問題おこります。

判決の四頁(四)に述べているように

…両者の目的、効果に格別の差異は認められず、前記の相違点は当業者の容易に思いつく設計問題にすぎないと述べているが、そうではないことは前記裁判で上告人により充分に申述べているものであります。

六、米国フォードがデザイン募集で採用した乗用自動車の乗降り用外踏段をなくしたことを過少に評価して不採用にしていたらと考えることは現在では到底出来ないことです。進歩性で評価すべきです。

七、以上の通り特許法第七〇条の法は正しく運用されるべきであり、その技術的進歩性を問題とすべきであります。この点東京高等裁判所判断に誤りがあると申し述べられるものであります。正しい判決を求めるものであります。

以上

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